ヴィンテージDiorのネックレス、イヤリング、ペンダント
トップにもなるブローチの三点セットです。
各アイテムには "Christian Dior Parfums" =
"クリスチャン・ディオール(の)香水"と、ジュエリー
としては異例のサインが入っています。
本作は、1991年ディオールの香水「Dune」の発売に合わせ
製作された特別なジュエリーなのです。
ブランド創業者 Christian Dior は、香りも自身の
ファッションを完成させる大切なピースだと考えていました。
創業初期の段階で早々に香水部門を立ち上げ、多くの
人気フレグランスを発表し現在に至っています。
そして「Dune」には、1985年に発売されたかの有名な
「Poison(プワゾン)」に次ぐ大きなヒットが期待され、
相当の年月と予算が費やされたという背景があります。
フレグランスとジュエリーを組み合わせての展開は
様々な分野を手掛ける有名メゾンならではの訴求力の高い
戦略です。
当然ブランドの看板を背負う香水に相応しいハイレベルの
ジュエリーが必要であり、そのデザインを依頼されたのが
Robert Goossens でした。
Robert Goossens の名は、シャネルのジュエリー製作を
担うジュエラーとして知られます。
とはいえ宝石や模造石を取り混ぜた、豪華で独創的な
作風に目を留めるメゾンは多数存在し、1960〜1989年に
ディオールでヘッドデザイナーを務めたMarc Bohan も
またその中の一人でした。
「Dune」の発売は1991年ですが、Robert Goossens が
製作を手掛けたのは1987年であったといいます。
深いオレンジカラーの樹脂と、重厚感のあるゴールド
メタルで巻貝を象り合わせた大胆なデザイン。
樹脂パーツは、ガラスに似た硬質さながら、とろんとした
濃度の高い液体をも想起させる不思議な質感です。
厚みと少々の透明感は角度によりブラウンがかった色味も
見せ、それはまさに香水「Dune」の、琥珀色のボトルを
思わせます。
アーティスティックな樹脂部分と比較し、メタルの
シェルパーツは、とりわけネックレス部分において大変に
写実的です。
形状、立体感、凹凸や筋、全てが丁寧に表現され
Goossens の技術力の高さをまざまざと見せつけられます。
ところで、「Dune」はフランス語で「砂丘」を意味します。
なぜ「砂丘」に「巻貝」なのでしょうか。
実は香水「Dune」は、ブランド創業主が幼少期を過ごした
フランス、モン・サン=ミシェル湾に面した地をテーマに
制作されています。
「Dune」の砂丘は砂漠ではなく、海辺の風景だったのです。
主題、商業的な意図を十分に踏まえ、かつ付属物の枠にも
収まらず、堂々と並び立つ。
名前が記されていなくても、なるほど Robert Goossens の
作だと唸らされる、圧巻の作品です。
"Christina Dior Parfums" の刻印。
年代 1980年代〜1990年代
サイズ ネックレス長さ約43cm イヤリング約5cm×3cm
ブローチ約10cm×5cm
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