シャネルのブローチです。
裏側のサインから1970年代の作品であることが分かります。
濃く鮮やかな赤色の花びらが、高さや角度を変えて重なり
形作るフラワーモチーフ。
直径6センチ弱、花びらの一枚一枚には、ガラスがセット
されています。
大きさ、素材、立体感、さぞ重厚であろうと手にしてみると、
その予想外の軽さにきっと驚かれることでしょう。
ガラスの花びらを持つコスチュームジュエリーといえば、
裏側には金属の土台が設けられ、縁を同素材の爪でぐるりと
留めた作品を想像されるかもしれません。
こちらのブローチは、花びらのそれぞれが裏のない金属の
枠のみで支えられているため、物理的にも、視覚的にも
大変軽やかな仕上がり。
ふわりと広がるフォルムも相まって、まるでシフォンや、
シルクのコサージュのような柔らかさを感じさせます。
そして特筆すべきは、用いられているガラスの特殊性です。
ぽってりとした厚みと、儚げな気泡を内在させた半透明の
とろりとした質感を持つガラスは、19世紀創業のガラス工房、
グリポワ(Gripoix)の作。
溶けたガラスを型に流し込み製造されるグリポワのガラスは、
繊細で高い技術力を要するだけあり色や透明度、輝きに
おいて抜きんでた美しさと独特の魅力を有し、多くの有名
メゾンのジュエリーに採用されてきました。
とりわけシャネルとの関りは深く、メトロポリタン美術館の
所蔵品にも、グリポワのガラスを使用した同作のジュエリーが
多く見られます。
ガラスの艶やかさと、お花の中央に、花びらの先端に、
雫のようにきらめくラインストーンとの輝きの対比にも
注目です。
サイン
「著作権と登録商標の記号(CとR)」
「"CHANEL"」
「ココマーク」
「"MADE IN FRANCE"」
少々のメタルの変色、ガラスのキズ等は製造方法、年代、
構造を考慮し作品の完成度に影響を与えない程度と考えます。
年代 1970年代
サイズ 直径約5.8cm
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