ヴィクトリアンのブローチです。
1892年、イギリスの意匠登録番号を示す刻印が見られます。
バンブーにベルのついためずらしいデザインは、
その頃欧米の美術工芸界に影響を及ぼしていた日本的な趣向、
「ジャポニズム」を意識したものでしょう。
「和」を代表する竹を主題にすることで、シンプルな
バーブローチが、瞬く間に異国情緒漂う流行のスタイルへと
一変しています。
竹の中央に飾られたチャームは、スイスカウベル。
表面に織物のような凹凸模様を施し、実際の動きまで考慮し
丁寧に取り付けられています。
揺れるたびチリンチリンと澄んだ音色が響く、なんとも
愛らしい演出です。
バンブーとカウベルの高い写実性に驚かされる一方、
「和」を知る私たちにとってその組み合わせは、リアルとは
いえない、少々不思議なものです。
19世紀半ば頃、各国で開かれた万国博覧会等をきっかけに
日本の文化は欧米へと広がりをみせました。
現代でも謎多き「Japan」、当時の人々にはさらなる
未知の世界としてとらえられていたことがうかがえます。
また自然を重視した題材、表現方法という観点では、
二者に共通項を見出すこともできるのかもしれません。
見て聴いて触れて、想像して、様々な面で楽しめる
大変ユニークなジュエリーです。
"9CT" の刻印があります。
※ケースは付属しておりません
年代 1892年
国 イギリス
素材 9金
サイズ 約4.2cm×1.7cm
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