ヴィンテージディオールのブローチです。
1960年代後半〜70年代頃、Henkel & Grosse社製と推定します。
同社は1950年代、ブランド創業主Christian Dior 自らの
強い希望でライセンス契約を結んだ、ドイツのジュエリー
メーカーです。
その技術力、デザイン性は多くの有名メゾンや顧客からも
高い評価を得ており、ディオールとの提携期間も
他に例のない長期間に及んでいます。
華やかなフラワーバスケットのモチーフ。
輝くラインストーンとカラフルなカボションガラス。
とりわけ花とラインストーンを好んだ創業主自身のデザインとも
思えるこちらのブローチは、Henkel & Grosse社の
存在なくしては誕生しえなかったでしょう。
また、当時のディオールヘッドデザイナー、Marc Bohan も
今作品に大きな影響を与えているものと考えられます。
Christian Dior のスタイルを最も踏襲したデザイナーと
評される氏の在任期間中のジュエリーには、まさに1950年代、
ディオールのジュエリー黄金期を彷彿とさせる作品が
多く見られます。
ルビーやサファイア、エメラルドを模したガラスの花や葉を
こぼれんばかりにあしらった花籠は、おそらく色合い、
モチーフともにアールデコ期のジュエリーに倣ったもの。
クラシカルでエレガントなデザインは Christian Dior の
王道ともいえます。
さらに各ガラスには、うっすらと白い模様が入っています。
それはまるで天然石の持つ内包物を再現したかのようで、
かつて貴石の美しさを追求したDiorのラインストーンが、
後年さらなる進化をとげていることが分かるのです。
時を経てもなお、ブランド創業主の美学と感性が生き続ける
トップメゾンならではの完成度の高い作品です。
著作権マークと共に "Chr.Dior" 、"GERMANY" のサイン。
ストーンのごく僅かな欠けは、作品の完成度に影響を
与えないものと考えます。
年代 1960年代〜1970年代頃
サイズ 約5.2cm×5.2cm
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