アンティークのリングです。
1900年代初頭頃製と推定します。

ダイヤモンドを横並びに配した一文字リング。
中央の一石から両端にかけ、徐々に石のサイズが変化する
グラデーションスタイルです。

高さのある台に、レースのような隙間を設けつつ石を留めた、
この頃のリングでは定番ともいえるデザイン。
その中でこちらの作品には、少々ユニークなポイントが二つ
存在しています。

一つめは石数です。
アンティークの一文字リングには五石のタイプが多く、
九石もの並びはなかなかにめずらしいでしょう。

小さめの石を、間隔が目立たないよう小さな爪で留めることで、
一筋のキラキラとした輝きの連なりが生まれます。
その連なりは指の前側だけではなく、角度によっては
手のひら側にも回り込んでいるようにも見え、
ハーフエタニティーリングと思えるほどの華やかさです。

二つめは地金部分の装飾。
リングを指に着け正面から眺めると、ダイヤモンドを持ち上げる
台の根元が明らかに暗いことに気が付きます。
実は、台座と爪を兼ねるこちらの部分の一か所ずつに、
ごく少量のブラックエナメルが施されているのです。

石の上下をくっきりと縁取る黒のライン。
丁寧で凝った細工はデザイン性の向上と共に、ダイヤモンドの
白色とのコントラスト効果で、煌めきをさらに際立たせる
役割を担っています。

ダイヤモンドにブラックエナメルを合わせるジュエリーは
19世紀以前より見られるものの、色の対比や直線を意識した
デザインは、20世紀、今作品よりも後の時代の特徴とも
いえるでしょう。

伝統の中に、まるで時代を先取りしたかのような
モダンな感性も香る大変洒落たジュエリーです。

ブラックエナメルの少々の欠損は、アンティークならではの
味わいとしてお楽しみください。

年代　　1900年代初頭頃
国　　　ヨーロッパ
素材　　ダイヤモンド エナメル ゴールド
サイズ　　約11.5号　サイズ直しについて

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