ヴィンテージのネックレスです。
留め具の裏側に "MADE ITALY" とだけ記されており、おそらく
サインやパーツ、デザイン等から総合的に判断し、1950年代頃
製造の "Coppola e Toppo(コッポラエトッポ)" の作品だと
推測します。
1940年代にイタリアで創業した同社と、設立に関わる兄妹の
名は、限られたジュエリー、ヴィンテージ愛好家を除き
日本で耳にする機会はそれほど多くはないことでしょう。
それは同社がアピールの絶好の機会である創業当時、イタリア
国内で表立った活動を行っていなかったことや、作品の素晴らしさが
Dior や Balenciaga、Schiaparelli、Valentino といった名だたる
ファッションハウスの目に留まり、共にジュエリー制作に携わる
過程で、はからずもビッグネームの陰に少々身をひそめる結果と
なってしまったことも、原因の一つなのかもしれません。
ブランドのデビューは1940年代後半、フランスにて。
その後数々の有名メゾンの作品を製作し、活躍の場も広げ、
用いる素材やデザインも時代と共に変化を遂げていきます。
しかしながらアーティスティックなデザインとビーズの美しさは
どの年代の作品にも共通しており、それこそが Coppola e Toppo
の最大の魅力だといえるでしょう。
全体をパープル系でまとめた本作も、クリアカラーに近いものから
深いアメシストカラーまで、四、あるいは五色のグラデーション
カラービーズが使われています。
さらに形状や大きさ、カットも異なるものを合わせることで、
より複雑な表情を引き出しているのです。
胸元の大ぶりなトップは、リーフのような形のモチーフを
無造作に集めたデザイン。
そしてそれはおそらく「無造作に見せている」だけで、表側に
二列のビーズを並べたメタルの半環状のパーツに、色、重なり具合、
立体感、全てが最も美しく見えるように計算されたうえで、
結び留められています。
下方の華やかなトップと、ネックラインを縁取る二連のビーズとの
中継地点ともなるその半環状のパーツは、1952年にデザイナー
Lyda Coppola が残したデザインスケッチとも大変似通っており、
当ネックレスが Coppola e Toppo の作品であると判断できる
大きな基準の一つだとも考えます。
留め具両端の三角形モチーフも、Coppola に特徴的なデザイン。
光に透かし眺め、素肌に直接、または装う背景の色を変え、
隅々までその魅力をお楽しみください。
クラスプ裏に "MADE ITALY" のサイン。
僅かなビーズのキズは、作品の完成度に影響を与えない程度と
考えます。
年代 1950年代
サイズ ネックレス長さ約45cm(アジャスター約6cm含む)
トップ部約8cm×9cm
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