スキャパレリのネックレス、ブレスレット、クリップ
の三点セットです。
裏側に入る筆記体のサインから、1950年代頃の作品と
考えます。

各ピースにほぼ共通したサイズ、デザインのモチーフを
使用した統一感のあるセット。
センターのメタルメッシュパーツから両側にチェーンが
下がり、さらにその先端をカラフルなガラスが彩る
華やかなデザインです。

下がり揺れるチェーン、そしてネックレス、ブレスレット
のチェーンも、中央のドーム型パーツの中をしっかりと
通っています。
結んでいるように「見せている」、通しているように
「見せている」、手の平に乗るほどの、小さく繊細な
装飾品の世界で、その演出はごく当たり前の手法です。

しかし実際に「結ぶ」、あるいは「通す」ことにより、
見せかけではけして実現することのない立体感や
複雑な陰影、自然な動きが生まれ、作品をワンランク
上の出来栄えへと導きます。

ムーンストーンやブルーサファイアを思わせるつるんと
したカボションガラス。
揺れるブルーやレッド、グリーン、イエローのガラスは
金属の爪や裏側を覆い隠す土台はなく、枠のみで
留められています。
重量と視覚的な軽やかさ、何より色の美しさを
ダイレクトに表現するための工夫なのでしょう。
鮮やかな色と豪華なメタルワークが組み合わされ、
どこかアジア風の異国趣味も感じられます。

1930年代、独特の美貌と着こなし、ジュエリー使いで
西洋のファッション界の注目を集めたインド女王に、
とりわけ強く魅了され影響を受けたのが、エルザ・
スキャパレリであったといいます。
後年の作ではあるものの、ハイクラスのジュエリー
ならではの妥協のない作りと合わせ、大変
スキャパレリらしい作品といえるかもしれません。

各ピースに "Schaparelli" のサイン。

年代　　1950年代
サイズ　モチーフ部縦約9cm（ブレス） 約10cm（他2点）
　　　　ネックレス長さ約43cm（アジャスター部5cm程含む）
　　　　ブレスレット長さ約19cm

当店ブログにて他の画像をご覧いただけます。