1900年代初頭頃製、アールヌーヴォー様式のネックレスです。
中央に女性の顔、その両脇にはヒナゲシと思われる大輪の花が
添えられています。
女性の髪が流れるような曲線を描きつつ左右に美しく広がり、
再び合流した先には揺れる一粒のパール。
女性と花を正面から捉えた構図自体は、サラ・ベルナールの
ポートレートか、あるいはアルフォンス・ミュシャの絵画か、
当時の何か、どこかで目にしたことがあるような、
けして斬新なものではないのかもしれません。
ところがここに色彩豊かなエナメルを合わせ、二石の
ダイヤモンドをキラリと輝かせることで、大変に
アールヌーヴォーらしい、独創的なジュエリーが誕生するのです。
エナメルは裏側を覆う土台のない、「プリカジュール」という
技法を用いているため、光にかざすとステンドグラスを思わせる
繊細な色合いを呈します。
発色は良いにもかかわらずスモーキーで、ほんのりと柔らかく
発光しているかのような不思議な雰囲気です。
花を彩るエナメルは、中央から花びらの縁に向かって淡い
ブルー〜レッドへと変化していきます。
流麗なラインの背景にも隙間なくグリーンのエナメルを
配することにより、髪が水の中でゆらゆらとたなびいて
いるようにも見えます。
サラ・ベルナールでもミュシャでもなく、この女性は
ハムレットのオフィーリアなのでしょうか。
なんともアーティスティックな想像が掻き立てられる作品です。
裏側に "14K" の刻印があります。
年代 1900年代初頭
国 ヨーロッパまたはアメリカ
素材 ダイヤモンド パール エナメル 14金
サイズ トップ部分約3.5cm×3cm チェーン長さ約43cm
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