二十世紀初頭頃製、エナメルのペンダントヘッドです。
この時代を席捲していた美術様式として知られるアールヌーヴォー、
おそらく1900年から1910年頃の作品ではないかと推測します。
中央には女神、あるいはニンフを思わせる美しい女性の姿。
両サイドには蓮でしょうか、シンプルに意匠化された花が
飾られています。
半透明に透けるグリーンがなんとも幻想的な雰囲気です。
この部分に用いているエナメルの技法は「プリカジュール」と
呼ばれるもので、通常裏側でエナメルを支えているはずの
土台がなく、ステンドグラスのように光を通します。
繊細な色と質感、特に女性の背後を彩る、ピンク〜ブルーの淡く
にじむようなグラデーションは、プリカジュール以外では
なかなか表現することが難しいでしょう。
頭上に輝く一石のダイヤモンド、揺れるバロックパールも
プリカジュールエナメルの優しく上品な印象をさらに
引き立てています。
アールヌーヴォー特有の柔らかな曲線を描きつつ
モチーフを左右対称に配し全体をすっきりとまとめたデザインは、
後の時代に控える、直線や幾何学模様を特徴とする
アールデコ様式への流れをどこか予見させるようでもあります。
裏側に "14K" の刻印有り。
日本製18金のチェーンをお付けいたします。
年代 1900年代初頭
国 ヨーロッパまたはアメリカ
素材 ダイヤモンド パール エナメル 14金
サイズ 約3.4cm×2.8cm
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