1800年代製と推測される、ヴィクトリアンのブローチ兼ペンダントヘッドです。
表面は透明なロッククリスタル、裏面は取り外しが可能なゴールド蓋の
ケース状になっています。
クリスタル中央の飾りは、アルファベットの "A"、"S"、"M" または "W" を
組み合わせ意匠化したもののように見えます。
おそらく持ち主、あるいは贈り主に因み特別にあつらえたものなのでしょう。
まるでクリスタルの中央にモチーフが浮かんでいるような、幻想的で
美しいデザイン。
扱いが容易ではないロッククリスタルをドーム状に研磨し、穴を開け、
土台となる金属でモチーフを固定するという、大変な手間と労力が
かけられています。
横から眺めると、モノグラムを描くシルバーがクリスタルの滑らかなカーブに
ぴたりと沿い、百年以上もの長い年月が経過しているにもかかわらず、
浮きやぐらつきもありません。
ラインの太さに合わせたサイズのダイヤモンドを二十八石も並べ、石の輝きと
マッチするよう、地金にも細かな刻みを施す丁寧な作業からも、いかに
手の込んだ作品であるかが分かります。
クリスタルとその文字飾りの周囲を取り巻くダイヤモンドも素晴らしい
存在感です。
ダイヤモンドと相性の良いシルバー素材を用いて、ローズカットの二十四石を
隙間なくぐるりとセット。
肉眼でもカット面が十分に確認できるほどの大きさと強いきらめきは、
同色でありながらも質感や輝きの異なるロッククリスタルと調和し、
かつ互いの魅力を引き立てあっています。
中に何か小さなものを収めロケットとして、また蓋の内側にはられた
ベージュの生地を、クリスタルを通しそのまま覗かせるのも大変上品で
素敵です。
年代 1860〜1880年代頃
国 イギリス
素材 ダイヤモンド ロッククリスタル ゴールド シルバー
サイズ 直径約2.5cm
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